法律以外の知識がないとストーリーを描けない

弁護士に法的知識があるのは当たり前、といってもすべての法律を知ること、深く理解することは事実上不可能で、必要に応じて調べるための法的素養を身につけることを意識して生活することが求められます。

法律に関する知ったかぶりをするのは論外です。知らなくて結構、調べます、調べるに際して意識すべき肝をお伝えします、という姿勢を堂々と示す弁護士こそ優秀です。相談する方はその点を特に注意して観察してください。知らないことを知らないと言える弁護士が優秀です。

法律知識を完璧にすることよりも「法律以外の知識と知恵を仕入れる」ことのほうが弁護士にとって大切だといっても決して過言ではありません。広く社会情勢を知らないことには、法律の条文を当てはめた後の「ストーリー」「事案の落とし所」「オチ」「アドリブの許容される幅」「絶対的NG演技」などについて助言することができません。

法律はそれ単体で価値を有さず、必ず社会の中の位置付けを獲得してこそ価値を発揮します。社会の構成要素としての事実が先にあって、その文脈の中でようやく法律が意味を持つのです。

事実を正確に理解するために必要な社会的知識、弁護士にも専門分野を持つ人が少なくありませんが、それは法律的な知識の専門性の以前の事実レベルでの「詳しさ」が大前提となっています。要するに、その分野について、法律にかかわらず「興味がある」のです。

話の面白い専門家は信用できます。話のつまらない専門家は社会そのものに興味関心の薄い可能性が否定できません。相談者は専門家の「面白さ」に着目してみてください。

中尾慎吾

弁護士/コンサルタント"中尾慎吾"です。契約関係・法律関係の最適化に関心があり、法律顧問の立場から事業活動および私的活動を「的確な法律知識の裏付け」を根拠として適切にコンサルティングしています。 連絡先:shingo.nakao1015@gmail.com

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