AI化時代における弁護士の価値
判例もパソコンで検索でき、契約書の雛形もパソコンで検索できる時代です。
近い将来、弁護士に相談するような事案概要をパソコンに打ち込めば自動的に結論が出る、という時代になるかもしれません。間違いなくそのようなプログラムを組む人が出てきますが、弁護士法上の問題(無資格者による非弁行為の禁止等)に抵触するという制約を度外視すれば、技術的には可能なはずです。
そのようなAI化時代における弁護士などの士業の存在価値について、今のうちに明らかにしておきます。
簡単なことです。相談者とコンピューターの間を取り持つのです。要するに、コンピューターが認識可能な形に、相談者の相談内容を整理するのです。
融資のコンサルティング、助成金のコンサルティングという業種はすでに存在しますが、それらの業種の価値はまさにユーザー本人の抱える主張事実を使える形に整えるという点に存在します。
裁判も然りですが、正しい事実さえあれば良い結果が出るという仕組みにはなっていません。必ず「整える」という作業が必要となります。
現在の弁護士業は事実関係を整えた上で結論まで示すことを期待されていますが、その役割のうち専ら「整える」という部分に価値が置かれる時代になっていきます。
そうなると、結局、コミュニケーション能力こそ正義という世界になるのです。傾聴力、質問力、説明力、これらがより求められる世界になるのです。
高度の専門性、という言葉でごまかされていた部分がクリアになります。真の人間味としてのコミュニケーション能力で勝負する時代になります。
コミュニケーションに自信がないから士業を目指しました、が通用しなくなる時代にようこそ。