調停前置主義

家事事件とは、家事事件手続法などにより定められている家庭に関する事件のことをいいます。家事事件は主に家事審判事件と家事調停事件に分かれますが、家事調停事件の代表例が、離婚調停です。

離婚は、人事訴訟法という法律により、訴訟事件にもなります。つまり、離婚調停が不調に終わった場合には、訴訟手続により解決を図ることも可能なのです。

離婚を求める場合、離婚調停と離婚訴訟の双方の手続が存在することになりますが、まずは離婚調停の手続を経る必要があります。これが「調停前置主義」と呼ばれるものです。家事事件手続法に、調停前置主義の根拠規定があります。

このように、調停前置主義が採用されている現行法の下においては、離婚を求める場合、いきなり訴訟を提起することはできませんが、相手方が調停に出頭しないなどの事情がある場合には、調停の第一回手続において調停が不成立となり、その後速やかに離婚訴訟を提起できる場合もあります。

調停前置主義の趣旨ですが、まずは話し合いにより柔軟な解決を図るべきだという考え方が根底に存在するのでしょう。

たしかに、訴訟よりも調停による手続のほうが、より柔軟な解決を図ることが可能なケースもあります。柔軟に離婚条件を整理し、当事者双方の再スタートにとってよい環境を整えることも、場合によっては可能だと思われます。

ほとんどの場合、離婚訴訟には至らずに、離婚調停において決着することになります。離婚訴訟まで手続が進むことは、多くないのです。

中尾慎吾

弁護士/コンサルタント"中尾慎吾"です。契約関係・法律関係の最適化に関心があり、法律顧問の立場から事業活動および私的活動を「的確な法律知識の裏付け」を根拠として適切にコンサルティングしています。 連絡先:shingo.nakao1015@gmail.com

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